カロリーとは、何なのか

カロリー表示の画像
  • 1kcalは、1リットルの水を1℃上げる熱量
  • 「cal」はカロリー、「Cal」は大カロリー
  • 「1Cal」=「1,000cal」=「1kcal」
  • 栄養素によって、消化に使うエネルギーが違う
  • エネルギー源は、PFCバランスが大事
  • 脂質は摂り過ぎNG、不足もNG、カロリーは高い

1kcalは、1リットルの水を1℃上げる熱量なので、栄養成分表示に「熱量」と書かれています。

エネルギーと書かれていることもあるでしょう。

単位には「cal」が用いられていますが、海外の製品などは「J(ジュール)」も使われています。

ジュール表示の画像

1calは、4.184Jです。

「cal」を使う場合、最初の「c」が小文字か、大文字かで数値が変わります。「cal」はカロリー、「Cal」は大カロリーで、「1Cal」=「1,000cal」=「1kcal」です。

参照体重における基礎代謝量

日本医師会』のサイトには、『参照体重における基礎代謝量』として、1日の活動に必要な推定エネルギー量が書かれています。

例えば、30~49歳の体重が68.5kgで基礎代謝が22.3の男性なら1530kcal、同年代の体重が53.1kgで基礎代謝が21.7の女性なら1150kcalといった具合。

私たちの1日の活動には、水を1000℃以上も上げる熱量が必要。そう考えると、食品の力の大きさを感じますね。

※ 厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」は、5年おきに変わっています。

 

カロリーの計算方法

カロリーは、食品成分表を使って計算されています。

食品ごとに100gあたりのカロリーと栄養素が書かれた表を見て、一食分の計算をしていくのです。食品成分表は、文部科学省のサイトで閲覧が可能なので、見てみたい方は下にある緑のボタンを押してください。

前項で「1kcalは、1リットルの水を1℃上げる熱量」と書きましたが、実際に燃やすと糖質が4.1kcal、脂質が9.4kcal、タンパク質が5.7kcalの熱を発生させます。「生理的熱量」で検索すると、このデータが物理的燃焼熱として出てくるでしょう。

ただ、上記のkcalが そのままエネルギーになるわけではありません。人間が消化・吸収できない分を除けば、1gあたりのエネルギー産生量は、糖質4kcal、タンパク質4kcal、脂質9kcalになります。

上記のアトウォーター係数などを用いてカロリーは算出されていますが、消化吸収率に個人差が大きい食品などは、暫定的にカロリーを半分にして表示しているようです。個人差が大きいのは、主にキノコや藻類になります。

アトウォーター係数

物理的燃焼熱から、消化できない分などを引いた値。上記の1gあたり糖質4kcal、タンパク質4kcal、脂質9kcalのこと。

 

個人差は、どこから来るのか

個人差の原因は、腸内細菌の違いが大きいでしょう。

極端な例を挙げれば、パプアニューギニアには、サツマイモばかりの食事なのに、筋肉ムキムキの人がいます。他に摂取しているのは、タロイモやシダ植物。豚は特別な日だけ。

タンパク質の摂取量で言ったら、日本人の半分以下になるとか……。どこから筋肉を構成する栄養素を得ているのかについては、窒素固定仮説、尿素の再利用仮説がある模様。

パプアニューギニア高地人の糞便中に、この集団に特異的な細菌グループや蛋白栄養指標と関連する細菌グループの存在を明らかにしたこと、窒素固定細菌の遺伝子クラスターが存在することを突きとめた

引用元:パプアニューギニア高地人がサツマイモを食べて筋肉質になるのはなぜか|東京大学大学院・医学系研究科・准教授 梅崎 昌裕

また、ラオスのウドゥムサイ県ナムヨン村には、蒸したモチ米を大量に食べているけど、肥満や生活習慣病の人が ほどんどいなかったり……。

ラオスの村人たちはプリボテラ菌が全腸内細菌の2割以上を占めているのだ。

プリボテラ菌はご飯などの糖質を食べて、「短鎖(たんさ)脂肪酸」という物質を作り出す。短鎖脂肪酸は脂肪の燃焼を促して肥満を防いだり、免疫の働きを良くして動脈硬化や糖尿病を予防したりするなど、優れた健康効果があることが最新研究で明らかになっている。

引用元:「ご飯」で日本人はどう変わった? 日本人とご飯を結ぶ、3つのキーワード | NスペPlus

 

食事誘発性熱産生

クレープの画像

「100kcalの物を食べたから、100kcalのエネルギーを得た」と思ってはいけません。消化や吸収にも、エネルギーを使うからです。

この消化や吸収に使うエネルギーは、栄養素によって大きく異なります。具体的な数値は、以下の通り。

  • タンパク質:約30%
  • 糖質:約6%
  • 脂質:約4%

上記の数値は、厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト『e-ヘルスネット』にあるもので、それぞれの栄養素のみを摂取した場合の食事誘発性熱産生です。現実的には、その栄養素のみを摂取することは少なそうですが、そこは置いておきます。

食事誘発性熱産生は、食後に安静にしていても代謝量が増加すること。パーセンテージは、摂取したカロリーの何%の消費が約束されているか。そう見ることもできます。

つまり、同じカロリー量でも、糖質や脂質に比べて、タンパク質は太らないということに……。

この食事誘発性熱産生は、筋肉の減少や、よく噛まずに飲み込むことで、低下すると言われています。

言い方を変えれば、運動せずに早食いする人は、デブる

ちょっと表現が不適切でしたね。トレーニングすると食事誘発性熱産生が高くなり、その逆だと低くなるので、黙っていても消費するカロリーに差が出るというだけ。

「でも、早食いチャンピオンで、痩せている人が要るけど?」と言うかもしれません。たぶん、その人はハードゲイナーなんじゃないでしょうか。消化や吸収効率が悪いので太れない。それは気の毒なことです。栄養を摂れていないので。

「ハードゲイナーじゃないし、あまり食べてないのに、太ってるんだけど?」と言う人は、食べたことを覚えていないのでは ないでしょうか。一度、食事の記録を取ってみてください。消費カロリーより摂取カロリーが多ければ、太って当たり前なので。

ほら、ギャンブル中毒の人が「トータルでは勝っている」と言うのと同じです。記録をつけていないので、正確なデータは出せないけど、勝ったときの印象が強いから、勝ちが多いと誤解しているという……。

なお、消化における噛むことの大事さは、唾液の分泌量もあると思いますが、その点は省きます。

 

三大栄養素

「食事誘発性熱産生」の項目で出てきた三大栄養素を掘り下げていきます。

その前に、三大栄養素が七大栄養素になると、これにビタミン、ミネラル、食物繊維、ファイトニュートリエントが加わります。「ファイトニュートリエント(ファイトケミカル)」は、抗酸化物質などのこと。

ファイトニュートリエントの有名どころとしては、「ポリフェノール」でしょうか。日に照らされて大きくなる植物が、その紫外線から身を護るための栄養素といったところ。なので、抗酸化効果があるみたいな感じです。

ポリフェノールは種類が5,000種以上あるので、「なんちゃらポリフェノールで~」と、差別化された含有商品が少なくありません。お茶のカテキンもポリフェノールの一種ですし、フラボノイドもそう。

何というか、ポリフェノールという大枠の中に、カテキンがあると思ってください。フラボノイドも この大枠の中に入りますし、アントシアニンはフラボノイドの枠の中に入ります。

ここまで書いた後に言うのもなんですが、七大栄養素にファイトニュートリエントじゃなくて、水が入っていることもあります。余計なことを書きましたが、話を三大栄養素に戻して、まずはタンパク質から。

タンパク質とは何か

鶏肉の画像

タンパク質は、体を構成する栄養素です。

多く含む食品で言ったら、肉、魚、卵、大豆、乳製品……。言ってしまえば、生命そのもの。

人の体を構成する栄養素ということは、他の動物や魚を構成する要素であっても不思議はない。生命として成長したもの、成長するための要素が詰まった卵や種。それが少ないはずがない。

そう考えると、どれが多いのか、思い浮かべやすいかも。

卵の画像

このタンパク質は、アミノ酸の塊です。

タンパク質は20種類以上のアミノ酸が結合したもので、食べた後は胃で消化されてペプトンになり、分解されてペプチドに変わっていきます。

ペプチドは、アミノ酸が2個以上結合したものです。さっきの20個以上に比べたら、随分と少ない結合具合ですね。このくらい細かくなるから、新たな体組織として構成できるのでしょう。

タンパク質にも色々ありますが、コラーゲンだったら、骨・軟骨・腱・皮膚になり、ケラチンだったら毛・爪になります。

なりますが、例えばコラーゲンだったら、動物由来のものより、魚由来のものの方が、吸収率が高いので、より効果的なのは魚ということに。魚由来のコラーゲン商品は、魚の皮や鱗などを原料に作っているそうです。

コラテイン

コラテインの感想

吸収率が高いコラーゲン入りのプロテイン。アミノ酸スコアは100。

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糖質とは何か

巻きずしの画像

「炭水化物」=「糖質」+「食物繊維」です。

食物繊維は消化されませんが、糖質は消化されて栄養になります。

食物繊維は「消化されないなら、食わなくても……」と思うかもしれませんが、別の大事な役割があります。おそらく、イメージしやすいのは、大腸の働きに関すること。便通などですね。

ただし、食物繊維には水に溶ける水溶性食物繊維と、そうじゃない非水溶性食物繊維があり、腸の状態によって便通に効果があるものが異なります。

他の効果としては、糖の吸収スピードを緩やかにするというのがあります。食物繊維を摂ることで、食後の急な血糖値の上昇を抑え、高血糖を防げるのです。この血糖値の上昇度合いは、よくGI値で表現されています。

GI値

Glycemic Index(グライセミック・インデックス)の略。

血糖値の上昇具合を、ぶどう糖と比較して出した数値。ぶどう糖のGI値は100。

GI値が70以上の食品は高GI食品、56~69は中GI食品、55以下は低GI食品。白米や食パンは高GI、サツマイモが中GI、果物や豆類の多くが低GI。

消化されない食物繊維に対し、糖質は消化されてエネルギー源となります。先に説明した「タンパク質」や「脂質」もエネルギー源になりますが、そのバランスが大事だと言われています。いわゆるPFCバランスと呼ばれるもので、具体的な数値は下の引用文の通り。

たんぱく質、脂質、炭水化物はエネルギー源となる栄養素です。各栄養素の摂取目標量は、エネルギー摂取量全体に対する各栄養素の占める割合(%エネルギー)で示されています。たんぱく質が13~20%エネルギー、脂質が20~30%エネルギー、炭水化物が50~65%エネルギーです。

引用元:栄養成分表示を活用しよう | 消費者庁

※ PFCバランスに対し、懐疑的な声もありますが、このページでは省略します。

「糖質制限ダイエット」なるものがありますが、上記の資料の中では「糖質由来のエネルギー」を最も多く摂ることが、推奨されています。エネルギーの50~65%は、糖質から摂れということ。

前項で書いた通り、タンパク質は消化にエネルギーを使う分、食べた量の割にはエネルギーとして残りにくいですし、脂質は摂り過ぎで生活習慣病に繋がる恐れがある。ということで、糖質由来のエネルギーになるのでしょう。理由は書いていませんでした。

前にも書きましたが、1gあたりのエネルギー産生量は、糖質4kcal、タンパク質4kcal、脂質9kcalです(アトウォーター係数)。脂質だけ、数値が違いますね。少ない量でも、倍以上のカロリーの理由がここにあります。

脂質は脂質で必要なのですが、その辺は次項で説明するとして、糖質の役割を掘り下げてみます。

炭水化物の栄養学的な主な役割は、脳、神経組織、赤血球、腎尿細管、精巣、酸素不足の骨格筋等、通常はぶどう糖しかエネルギー源として利用できない組織にぶどう糖を供給することである。

引用元:炭水化物 | 厚生労働省

一口に糖質に言っても、種類があります。それ以上 分解できないレベルのものを単糖と言い、単糖の結合具合によって二糖類、少糖類、多糖類と分類されています。

この単糖類に、「ぶどう糖(グルコース)」があります。糖と聞いて思い浮かべやすい「砂糖(スクロース)」は、ぶどう糖と「果糖(フルクトース)」が結合した二糖類です。

よく砂糖などの精製された炭水化物が太ると言われているのは、体内で脂質に変わりやすいから……だったかな? 血糖値の上昇を抑えるインスリンどうとか、そういう話もあったような気がします。

栄養学的には脂質らしいので脂質と書いていますが、生物を構成する要素になった時点で、脂肪と書いた方が適切かもしれませんね。

何にせよ、『ぶどう糖しかエネルギー源として利用できない組織』がある以上、糖質は要るということ。

余談ですが、先に引用した消費者庁の資料によれば、日本人は食物繊維が足りない傾向にあるようです。

TRICE

TRICEの感想

カロリーオフの「お米」で、お通じも改善? 食物繊維は、レタス9個分

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脂質とは何か

肉の脂身の画像

脂質は、液体だと油、固体だと脂。つまり、「あぶら」です。

これを摂らないと、脂溶性ビタミンが不足し、様々な病気になる可能性があります。脂溶性というのは、文字通り油脂に溶けるということ。具体的には、ビタミンA、D、E、Kなど。

不足によって出る症状は、Aなら夜盲症、眼球乾燥、成長阻害、生殖器異常。Dなら貧血、筋力低下、神経障害。Eなら、骨に関する異常。Kは出血。

摂り過ぎが問題になるのは、必要以上に摂った分が排泄されないからです。ビタミンBやCといった水溶性ビタミンなら、名称の通り水に溶ける性質があるので、不要な分は尿として排泄されます。しかし、水に溶けにくい脂溶性ビタミンは、尿として排泄されません。

もちろん、充分な水分を取っているから、尿やウンチが出せるわけなので、水分補給を怠った場合は……。

ちなみに、ウンチの水分割合は約80%で、下痢になると それ以上になります。水分以外のウンチの構成要素は、腸内細菌、剥がれた腸粘膜、食べカスです。これらは同等の割合になります。

一口に油と言っても、いろんな種類があります。「良い油」「悪い油」で区分されることもありますが、性質の違いで分ければ“常温でも液体の状態を保つか否か”です。次に、二重結合の数。詳しく知りたい人は、下記リンク先にて。

マーガリン

トランス脂肪酸とは、何なのか

どうして「部分水素添加油脂不使用」がウリになるのか? 不飽和脂肪酸、二重結合、エマルションとは? 実は、マーガリンは液体だった?

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脂肪の性質

脂肪は、筋肉に比べて電流を通しにくいです。

体脂肪計では、その性質を利用して、脂肪の量を測っています。

 

最後に

カロリーの単位、計算方法、消化や吸収に使う量、そして栄養素について説明してみました。専門家ではないですが、幾つかの信頼に足りそうなソースを見比べて、まとめたつもりです。

この内容を読んで、どう思われたのでしょう?

人

「栄養学なんて、解明されていないことの方が多いんじゃないか? 好きなものを好きなように食うのが一番だよ」

人

「私が知ってる内容と違うわ。だから、絶対に間違っている。ダイエットに成功した有名人が言うにはね……」

いろんな感想があることでしょう。

ところで、「処理流暢性」という言葉を聞いたことは、あるでしょうか? 平たく言えば、「わかりやすいものが真実だ」と思う心理です。

読んだけど把握できないから、シンプルな結論を出して解決したと思い込む。思考停止による真実探求の中止。つまりは、上のセリフ。

「バックファイア効果」という言葉は、聞いたことがありますか? 自分が信じているものに対し、不都合な情報に遭遇すると、自分の考えを改めるのではなく、不都合なものを拒否して信念を強くすることです。つまりは、上のセリフ。

私が間違っている可能性もあるというか、時の流れとともに より精度の高い情報に変わっていくでしょうから、このページも上のセリフと 大差ないところがあるかもしれません。でも、知ることを諦めたら、そこで知識はストップ。

「知る」ということは、長い道のりですね。

最後に、何らかの足しになればと思い、要点を振り返って終わりにします。

  • 1kcalは、1リットルの水を1℃上げる熱量
  • 「cal」はカロリー、「Cal」は大カロリー
  • 「1Cal」=「1,000cal」=「1kcal」
  • 栄養素によって、消化に使うエネルギーが違う
  • エネルギー源は、PFCバランスが大事
  • 脂質は摂り過ぎNG、不足もNG、カロリーは高い